現実世界のデータには,論文共著ネットワークやイベント参加ネットワークなど,2種類の頂点からなる2部ネットワークによって表現できるものが数多く存在する.これら2部ネットワークからのコミュニティ検出は,類似した頂点の発見やネットワーク構造理解の手がかりとして重要である.1部ネットワークにおいては,コミュニティ検出の良さの評価基準としてNewman-Girvanモジュラリティがしばしば用いられている.2部ネットワークにおいては,Barber,Guimera,Murata,Suzukiなどによって2部モジュラリティが提案されている.我々はこれらの2部モジュラリティを比較し,各々の利点や欠点を考察した.人工ネットワークを用いた実験によって,(1)Barberの2部モジュラリティの計算は比較的高速であることや,(2)Suzukiの2部モジュラリティの最大化によるコミュニティ検出は比較的高精度であることが分かった.更に,2部ネットワークにおけるコミュニティ検出を高速に行う最適化手法を実現した.