近年,インターネットサービスの耐障害性とスケーラビリティを向上させるため,システムを構築する際に様々な分散アルゴリズムが利用されている.これらのアルゴリズムが正常に動作するためには,一般に最大同時故障台数などの制約条件がある一方で,現実の障害には,こうした制約条件をシステムが満たせずに異常な振る舞いをする原因となるものも存在する.このような大規模な障害に対するサービスの耐障害性を向上させることを目的に,本論文では,Dolevらによって提案された自己安定性を持つ合意アルゴリズムを基にしたパッシブ複製手法を提案する.これにより,多数の計算機で同時に故障が発生したり,計算機間の状態に整合性が取れなくなるような障害にも対処しうるインターネットサービス基盤の構築を目指す.