本論文では,GUI上において行き過ぎようとするカーソルを捕らえるようにターゲットを変形することで,ポインティングを支援する手法「Birdlime Icon」を提案する.この手法は,従来手法とは違い画面上に多くのオブジェクトが配置されている現実的な状況においても,悪影響が少なくポインティング時間を短縮できる.この提案手法の有効性を評価するために,カーソルが近づくとターゲットが大きくなるExpansion,およびターゲット上でカーソル速度を遅くするSticky iconsと,三つの比較実験を行った.実験1では一つのターゲットを配置した環境で実験を行い,実験2では範囲選択を含むタスクを行い,実験3ではカーソルがターゲット以外のオブジェクト上を通過しなければならない状況で実験を行った.これらの実験の結果,ExpansionやSticky iconsは状況によっては逆効果になってしまうのに対して,Birdlime Iconは常にパフォーマンスを維持できる実用的な手法であるという知見を得た.