プレゼンテーションやテレビ放送といったリアルタイムコンテンツ視聴中のコミュニケーションには独特の魅力があるものの,複数のことを同時に行うのは認知的な負荷が高いため,興奮や同意といった単純な反応を返すだけで精いっぱいということが多い.そうした反応の共有は視聴者の一体感を生みだすが,深みのある議論をするには妨げとなる.そこで我々は,コンテンツから目を離さずに利用できるエキサイトメッセージ,テキストを入力する余裕がないときにも利用できる反応ボタンと選択肢付き発言といった,視聴への没頭度合いに応じたユーザインタフェースを持つチャットシステム“On-Air Forum”を開発した.これらの機能を通して送られる反応は,議論をよりわかりやすく可視化することに利用されるため,議論と反応との共存が可能になる.本論文では,On-Air Forum開発の基となったデザイン指針を議論し,さらに研究会議において実施した実証実験について報告する.