組込みシステムの性能解析のためのUMLによるシステムレベルモデリング手法について提案する.本稿で提案するモデリング手法の主要な技術は,組込みソフトウェアのリバースモデリング手法である.このために,実行トレースを捨象して振舞を抽出するための手法を提案する.捨象は特定の視点にもとづく動的分析によってなされる必要があり,本稿では性能の視点による捨象手法を定義した.捨象結果から現行システムの振舞を抽象的に表現しているモデルを作成することができる. 実際のMFP(multifunction peripheral/printer)製品に対する本手法の適用事例を報告する.本手法の評価として,実際にMFPプロトタイプを製作し,モデルによる性能評価結果がMFPプロトタイプの性能とほぼ合致することを確認し,本手法による性能評価が妥当性を持つことを示した.また,関数呼出の特徴が捨象前後で大きく変わらないことも示した.特徴を保持したまま抽象化することができるので,本手法はリバースモデリング手法として適している.