近年,ユビキタスコンピューティング環境での利用を想定した実世界指向のアプリケーション開発が盛んに行われている.こうした開発環境においても,従来のデスクトップ環境と同様にディスプレイやGUIが併用されることは多いが,様々なセンサ/デバイスなどのハードウェアと連携した操作を行う点で,従来のマウス/キーボード操作を前提としたGUIとは大きく性質が異なる.そのため,従来のPC向けのGUI開発ツールが適用しにくく,開発プロセスが複雑化しやすかった.我々は多数のアプリケーション開発を通じ,こうした問題を解決するためのノウハウを貯め,一定の開発手法を確立してきた.我々の開発手法のポイントは,GUIとデバイス制御プログラムの間に「デバイスサーバ」と言われるミドルウェアを設けることで,両者のプログラムを分離し「疎結合」な状態にするという点である.こうすることで,GUIとデバイスというレイヤーの異なる開発を並行してスムーズに進めることができるようになった.本論文では,こうしたGUI-デバイス複合型アプリケーションの開発手法について,具体的な開発方法や様々な事例,課題を交えながら紹介する.