ラウンドトリップエンジニアリングは,フォワードエンジニアリングとリバースエンジニアリングを繰り返し行うことにより,モデルとソースコードを詳細化していく手法である.特に要求変更の多いソフトウェアに対して,ソフトウェア開発期間の短縮,効率化という点で有効である.そのようなソフトウェアの例としてWebアプリケーションがあり,ImazekiらはWebアプリケーションのラウンドトリップエンジニアリング手法を実現している.しかし,近年普及しているAjaxアプリケーションに対してラウンドトリップエンジニアリングを実現する方法は確立されていない.その最大の原因はAjaxの特徴であるサーバ/クライアント間での非同期処理を扱えない点である.そこで本論文では,Ajaxアプリケーションを対象にしたラウンドトリップエンジニアリング手法を提案する.提案手法はImazekiらの手法を拡張することにより実現した.提案手法の有効性をケーススタディと評価実験によって示した.特に評価実験では,本ツールを用いることにより,ソフトウェアの変更作業が25%減ったことを示した.