モデル駆動工学とは,ソフトウェア集約的なシステムの製造,維持,運用における自動化を達成するための,メタモデリングとモデル変換を同時に用いるツールに基づく手法である.モデル駆動工学については,個別の技術に関する文献はあるが,歴史や背景を含めて全体を俯瞰したものはこれまでなかった.本連載は,当該分野を牽引してきた研究者Jean Bézivin氏による,国立情報学研究所で行われた集中講義の内容を基に,モデル駆動工学の歴史から始まり,理論,基本原理,応用,今後の展望までを多くの図を交えて解説するものである.第1回の本稿では,モデリング言語の歴史を振り返り,モデル駆動工学の基本概念について述べる.