製造業に従事する労働者のストレスとその対策についてレビューした. 製造業における仕事のストレス要因として, 仕事の要求度が高いこと, 仕事上のコントロールが低いこと, 上司 · 同僚からの支援が低いこと, 仕事の役割や責任の曖昧さ, 職場の物理 · 化学 · 人間工学的環境, 作業スケジュールや交替制を含む勤務パターン, 将来の雇用についての不安などが挙げられる. こうした職場でのストレス対策として, 職場環境要因については, 製造業従事者の仕事上のコントロールを増して自立性や主体性を高める方策, 労働者の職務や責任を明確にする方策, コミュニケーションを円滑にして相互支援を高める方策, 付加的な報酬制度の導入などの方策が重要である. また, 個人やグループへの対策としては, 労働者本人, 管理監督者, 職場内の小集団など, 対象者の特性に応じた教育やスキルアップのための訓練, 相互研修などが必要である. これらの対策が有効に実施され, 継続されるためには, 経営トップの理解と支援のもとに, ストレス対策の実施体制を整えることが前提となる. また, 適切な指標を用いて対策の効果やそのプロセスを評価することが重要である.