従来から痛風発作の扱いや治療, 高尿酸血症が痛風発作を伴う場合とそうでない場合の管理の方法について, 諸家の意見が述べられてきたが, 診療面での一定の規範がないことが一般診療での障壁となったきた. 1996年に開催されたコンセンサス · カンファランスで, 高尿酸血症 · 痛風がcommon disease (ありふれた病気) であり, 痛風発作の有無にかかわらず, 他の生活習慣病と同様にマルチプルリスクを念頭において管理するための均質な治療方針の必要が確認された. 発作の治療, 尿路結石症の予防や治療と管理, 長期合併症や腎機能の管理が討議された. これを契機に専門医集団の意見を尊重しながら, エビデンスを集約する作業が活性化した結果, 日本痛風 · 核酸代謝学会にガイドライン委員会が設置された. 2002年2月に新ガイドラインが公開され, 同8月に正式出版された. 全体を通して新ガイドラインが目指す目標のひとつとして, 生活習慣病としての高尿酸血症の位置付けと全人的な管理がある. 折りしも産業医学の場面で, 生活管理 · 保健指導の重要性が注目される中, 本ガイドラインが職域での健康管理に貢献する可能性が期待されている.