プッシュプル型換気装置では, 使用状況によって換気気流中に逆流が生じ曝露を引き起こすことが指摘されており, 局所排気装置でも同様の問題が懸念される。本研究では, 逆流が局所排気装置使用時に起す曝露および漏洩を調べるため, 外付け式および囲い式フードを備えた局所排気装置と等身大の人体模型を用い, スモークテストおよびトレーサーガスによる実験を行った。このトレーサーガスにはエタノール蒸気を用い, 有機溶剤作業を模したものとした. その結果, 外付け式フード使用の場合, 作業者が立位姿勢でフードと対面した際に逆流が発現し, 吸引風速0.4m/s以下で若干の曝露が確認された. また吸引風速に関わらず, 逆流による10ppm未満の漏洩が確認された. 囲い式フードでは, 曝露抑制に0.8m/s以上の吸引風速を必要とする場合があった. 囲い式フードでは漏洩の危険は少ないが, 作業者が座位の時には曝露の危険が高いことが判明した. 両フードの場合とも, 吸引風速の増加は逆流による曝露を抑制する効果があった.