血糖値が摂食後上昇することは自明であるが, 健康診断において血液試料の空腹時採取は必ずしも容易ではなく, 食後血糖値を用いて糖代謝異常者をふるい分けなければならない場合が少なくない. 多数の健康診断受診者 (要治療有症者を除く)の血糖値を集計した結果, 空腹時血糖の平均値 (M)+2標準偏差 (SD)はそのスクリーニングレベルとされる110mg/d l にほぼ一致した. このため食後の各時間帯でのM+2SDをそれぞれのスクリーニングレベルとしたところ, ふるい分け率は空腹時の場合とほぼ同率であった. 従って, 食後の各時間帯でのM+2SDに最も近く1桁目が0または5の整数を便宜上食後血糖のスクリーニングレベルとすれば実用的であると考えられる. なお食後4時間以上の血糖値は, その時間帯のM+2SDが空腹時のそれとほぼ等しく, 空腹時血糖とみなしえる.