精神的ストレスが僧帽筋内のヘモグロビン動態に及ぼす影響:中村賢治ほか.大阪社会医学研究所 ―我々は,健常な非喫煙女性20名を対象に,精神的ストレスが,僧帽筋内のHb動態に及ぼす影響について調べた.被験者に,1分間の立位での両上肢の側方水平位保持(身体的課題),またはStroop's Color Word Test(精神的課題),またはその両方を同時に与える課題を,5分間の休憩をはさんで行わせた.心拍数,および筋内ヘモグロビン(酸素化Hb:OxyHb,脱酸素化Hb:DeoHb,総Hb:TotHb)濃度と表面筋電図(いずれも右僧帽筋で測定)を測定した.各課題によるHb濃度の安静時からの変動量( ΔOxyHb , ΔDeoHb , ΔTotHb )を算出し,身体的負荷時と身体的および精神的負荷時を比較した.身体および精神的負荷時の ΔDeoHb は身体的負荷単独時より有意に小さく( p =0.013), ΔOxyHb , ΔTotHb には有意な差は認められなかった( p =0.281, p =0.230).本実験の結果は,精神的ストレスが僧帽筋内の ΔDeoHb に影響を及ぼしたことを示唆しており,可能性のある機序の一つとして,精神的ストレスによる僧帽筋の酸素消費量の減少が考えられた.今後,長時間の負荷による影響について検討する必要がある. (産衛誌2007; 49: 225-233)