目的: 休業に関する規則や職場復帰支援制度と,メンタルヘルス不全による休業者の発生状況から,両者の関連性を検討することを目的に本調査を行った. 対象と方法: 某県産業保健推進センター利用歴のある150ヶ所の事業場を対象に,休復職に関する規則とメンタルヘルス不全による休業者の発生状況に関する調査用紙を配布した. 結果: 常勤職員数と最大休業期間(r=0.489, p< 0.001),常勤職員数と休業中の金銭補償期間(r=0.315, p= 0.031)との間に有意な相関を認めた.また,常勤職員数1,000人以上の9事業場においては,金銭補償期間と休業者率(r=0.670, p= 0.048),金銭補償期間と平均休業日数(r=0.866, p< 0.001)との間に有意な相関を認めた. 考察: メンタルヘルス不全による休復職の判断においては,金銭補償期間が影響を与えている可能性が示唆された.今後は,メンタルヘルス不全者の支援体制の改善を考える上で金銭補償期間の影響を考慮した制度の見直しが必要と考えられた.