被験動物をカゼイン又はグルテンを20%含む飼料で2週間飼育した後, 大腸菌由来のエンドトキシンであるリポ多糖 (LPS) を投与し, 24時間後に屠殺して肝臓の生体異物代謝酵素 (XME) 系と抗酸化酵素系の変動を調べた. カゼイン食下でのLPS投与は, XME系のP450量の著しい低下とともにグルタチオン-S転移酵素活性とUDP-グルクロン酸転移酵素活性の低下も招いたが, 抗酸化酵素系のグルタチオン還元酵素活性に対しては上昇作用を示した. 一方, グルテン食下でのLPS投与は, P450量にのみ影響を及ぼし, カゼイン食群よりもすでに49%も低値を示したグルテン食群のP450量を更に60%も低下させた. 以上の結果は, タンパク質栄養の劣悪な状態で感染症に罹患した場合には, 生体異物の解毒能の著しい低下など生体機能に甚大な影響きたす恐れのあることを示唆している.