GC/AEDを用いた9種類の有機スズ化合物の分析法を検討したところ, 選択性が極めて高く, しかも検出限界は標準溶液で1pgと高感度であった. 食品用器具・容器包装及び玩具を分析したところ, ポリ塩化ビニル (PVC) 製容器では全検体から安定剤のジオクチルスズ (DOT) が検出され, 残存量はほぼ数千μg/gであった. 更にその不純物や分解物のモノ及びトリオクチルスズ (MOT及びTOT), ジブチルスズ (DBT) などが検出され, ジメチルスズの残存もみられた. また, PVC製手袋からDOT, MOT, TOT, シリコーン加工クッキングシートからDBT, モノ及びトリブチルスズが検出された. PVC製容器のDOT及びDBTは比較的溶出しにくいが, 手袋及びシートからは極めて容易に溶出した.