ポリ塩化ビニル (PVC) 製手袋に残存するフタル酸ジ (2-エチルヘキシル) (DEHP), フタル酸ジイソノニル (DINP), アジピン酸ジ (2-エチルヘキシル) (DEHA) 及び4-ノニルフェノール (NP) は, 水, 20%エタノール, 4%酢酸では0.005~0.416μg/cm2溶出したが, n -ヘプタン (25℃ 60分間) ではDEHPが1,410~2,500μg/cm2, DINPが720μg/cm2, DEHAが137~841μg/cm2, NPが2.72~36.4μg/cm2と極めて高い溶出が見られた. ナタネ油への溶出量は, 60℃ 30分間で薄手手袋では n -ヘプタンの1/2~1/4, やや厚手手袋では1/4~1/10に相当し, 試験温度が高く, 時間が長いほど溶出量は多くなったが, 低温や短時間でもかなりの溶出が見られた. 以上よりPVC製手袋を脂肪性食品に使用すると, 残存するDEHP, DINP, DEHA, NPが大量に食品へ移行することが示唆された.