1999年12月初旬,瀬戸内海南東部海域において Alexandrium tamiyavanichii が発生し,養殖アカガイ,天然ムラサキイガイが麻痺性貝毒(PSP)で毒化した. A. tamiyavanichii は,Gonyautoxin (GTX)-2, GTX3とGTX4を 83 mol% 含有していた.毒化した養殖アカガイは,GTX2, GTX3を主成分とし,2か月間の出荷規制の後半にGTX3の減少に伴いSTX含量が上昇した.可食部の毒量変化を臓器別に調べたところ,鰓でのPSPの減少が著しかった.一方,ムラサキイガイのPSP毒組成は, A. tamiyavanichii の毒組成に類似していた.ムラサキイガイのPSP解毒代謝速度は,アカガイより速く,1週間で規制値を下回り,中腸腺以外の内臓器官での減毒が速やかに進行した.