我が国において食品への使用が認められていない耐酸性コチニールの分析法を確立するために,主色素成分の構造について検討した.米国市場より入手した本色素原体より主色素成分を単離・精製した.また,米国特許情報に基づきカルミン酸をアンモニア水中で加熱し,耐酸性コチニールを調製し,その構造を各種機器分析により推定した.更に,本色素成分の構造を確定するために,カルミン酸とA環の水酸基の配置が等しいプルプリンをモデル化合物として用い,同様な反応により得られた化合物の構造を決定した.その結果,耐酸性コチニールの主色素成分の構造は,4-アミノカルミン酸が妥当であると判断された.