市販加工食品50検体中のフタル酸及びアジピン酸エステルの残留調査を行った.フタル酸ジ n -ブチル,ブチルベンジル,ジ(2-エチルヘキシル),ジイソノニルとアジピン酸ジ(2-エチルヘキシル)の残留濃度は,従来から報告されている範囲内の濃度であった.一部の検体から比較的高濃度のアジピン酸ジイソノニル(DINA)(最高20,200 ppb)が検出され,包装に使用されていたポリ塩化ビニル(PVC)製ラップフィルムの可塑剤DINAが食品に移行したものと思われた.油で揚げたコロッケをDINA含有PVC製ラップフィルムで包装した際のDINAの移行について検討したところ,揚げた直後の包装では,その残留は36,400 ppbであった.5及び30分間放置後の包装では,その残留量はそれぞれ1/3.5,1/14に減少した.