食品衛生法で定めるクレゾールリン酸エステル(TCP)の規格試験は四塩化炭素を用いており,しかも操作が煩雑で長時間を要し,回収率や再現性がよくないことが指摘されている.そこでHPLCによるポリ塩化ビニル中のTCPの分析法について検討した.試料をアセトニトリルで抽出後,Sep-Pak C18 に負荷してアセトニトリル-水(2 : 1)混液で溶出し,HPLCにより測定した.カラムおよび移動相は Inertsil Ph-3 および 65% アセトニトリル/水を用い,すべてのTCP異性体を1本のピークとして定量した.TCPを規格値である 1,000 μg/g となるように添加したときの回収率は 84.7~98.6% と良好であり,定量限界は 50 μg/g であった.さらにTCP含有量が明らかなPVCシートに適用したところ含有量の 85% 以上に相当する測定値が得られた.