醤油中に存在する7種の不揮発性腐敗アミンの含有原因を知る目的で,醤油もろみ熟成中におけるそれらアミン生成の有無を調査するとともに,その生成原因を検討した.醤油のもろみを仕込み503日間熟成,その間経時的にもろみを採取し分析したところ,チラミンおよびフェネチルアミンが生成されることを確認した.そこでもろみからアミン産生菌を検索したところ,チラミンを産生する乳産菌を単離し, Enterococcus faecium と同定した.本菌の性状を検討した結果,醤油中のチラミンは,熟成中塩分が完全にもろみ内部に浸透する前の初期段階において,これらチラミン産生菌によって生成,蓄積されることが一因であると推察された.