腸炎ビブリオと Vibrio alginolyticus を接種した魚介類および自然汚染魚介類について,易熱性ヘモリシン遺伝子( tlh )を標的としたMPN-PCR法とアルカリペプトン水(APW)増菌およびTCBS培養の組合せによるMPN法(MPN-TCBS法) により腸炎ビブリオ菌数を測定した.MPN-TCBS法ではTCBS培地上に発育した V. alginolyticus などの影響により腸炎ビブリオの分離が困難となる例が見られた.一方MPN-PCR法は,腸炎ビブリオを分離する必要なくAPWから tlh 遺伝子を検出することが可能であったことから,魚介類,特に腸炎ビブリオ以外の菌が多数TCBS培地上に発育する検体では,MPN-TCBS法により腸炎ビブリオの菌数測定に適していると考えられた.