食品用プラスチック製品のカドミウムおよび鉛の測定について,試料に共存する金属の影響を検討した.食品衛生法に定められた試験では灰化時に硫酸を加えて測定する(公定法)ことから,共存金属が難溶性の硫酸塩になり硫酸鉛を吸着する場合がある.そこで硫酸塩を可溶性の塩化物にするため,塩酸を灰化物に加える処理を行った(塩酸処理法).その結果,カドミウム回収率は20 mg/g以上のカルシウム添加試料で低下した以外は両法で影響は認められなかった.鉛回収率は,0.1 mg/g以上のバリウムおよび10 mg/gカルシウム添加試料の場合,公定法で著しく低下した.しかし塩酸処理法および試料量を少量(0.1 g, 公定法の1/10)にすることにより,回収率が改善された.