著者らが実施した農作物中の農薬残留モニタリングデータ(1996~2002年度)などを参考にして,36種類の農薬を選抜した上で,硫黄成分を含有するアブラナ科野菜中の有機リン系農薬の一斉分析法を検討した.試料からアセトニトリル抽出後,GPCおよびシリカゲル/PSAミニカラムにより精製し,定性・定量にパルスドFPDを,確認にFTDを用いるデュアルカラム-デュアル検出器方式GCにより測定した.GC条件の最適化を図ることにより,試料由来の硫黄成分による妨害ピークの出現が大幅に減少した.特に,GCの高感度化に伴い,試料濃度を0.25~0.5 g/mLまで希釈することによって,パルスドFPDではほとんどの妨害ピークが消失し,煩雑な精製操作を省くことも可能となった.