多くの国内産野菜は,口腔を経由する胃内の条件下で発がん性ニトロソアミンを生成する可能性のある硝酸塩を多量に含んでいる.一方,これら野菜にはアスコルビン酸塩をはじめニトロソアミン生成に影響を与える成分も含まれている.本研究では,高含量の硝酸塩を含む野菜,チンゲンサイ,コマツナ,イトミツバについて,口腔内を想定した nitrate reductase による還元,引き続いて胃内を想定した弱酸性におけるmorpholineからのニトロソアミン生成効率を検討した.3種の野菜のニトロソアミン生成効率と,亜硝酸塩からのニトロソアミン生成効率には差異はなく,また.3種の野菜いずれもニトロソアミン生成量を半分に減じるには,多量のアスコルビン酸塩の添加が必要であった.これら野菜中の成分は含まれる硝酸塩から生じる亜硝酸塩によるニトロソアミン生成にほとんど影響を与えないことが分かった.