GC/MSを用いた食品中のポリ塩化ビフェニル(PCBs)の異性体分析法について検討を行った.市販の食用魚16検体についてGC/MS法と従来のGC-ECD数値化法により算出した総PCBs濃度を比較したところ,両者の間には良好な一致が認められた.本法を用いて大阪府で調製されたトータルダイエットスタディー試料10~12群(魚介類,肉・卵類,乳・乳製品類)の分析を行い,食事に由来するPCBsの一日摂取量の経年変化を調べた.総PCBs(3~7塩化物の合計)の一日摂取量は1982年から2001年にかけて0.7~4.4 μg/ヒト/日の範囲で推移し,いずれの年も暫定許容摂取量(250 μg/ヒト/日,体重50 kgの場合)の2%以下であった.最も摂取量の多い異性体は2,2',4,4',5,5'-6塩化ビフェニル(#153)であり,総PCBsの 9~15% を占めていた.また,低塩素化物の比率は全体的に1980年代から2000年代にかけて減少傾向を示し,魚介類を中心に食品中のPCBs異性体組成は徐々に変化していることが示唆された.