リンゴジュース中のパツリン分析の告示法評価のために11機関による評価研究を行った.パツリン分析法は,AOAC法995.10の改良法を評価研究対象とした.すなわち,抽出・精製はAOAC法995.10に従い,溶離液の条件をアセトニトリル-水(4 : 96)として高速液体クロマトグラフィーで分析する方法である.試料として,パツリンを検出しないクリアタイプ,2種類の自然汚染リンゴジュースを用い,添加回収試験はクリアタイプのリンゴジュースに異なる2濃度のパツリンを添加して行った.自然汚染試料分析における併行再現性は,それぞれ3.2, 7.1%,室間再現性は10.0, 21.7% であった.HORRAT値も0.4~0.9であり,良好な値を示した.定量限界は10 μg/kgであった.添加回収試験から得られた平均回収率は 83.7% であった.これらの結果から,この方法はパツリン分析の告示法として妥当なものであると考えられた.