1999年から2002年の間に,9種の果物,計148検体を採取し,ダイオキシン類とコプラナー PCB を分析した.試料採取地点から約1 km以内に稼働中の廃棄物焼却場がある場合を‘発生源周辺’,その他を‘一般’と定義し,TEQを比較した.その結果,りんごのTEQのみ‘一般’に比べ‘発生源周辺’で有意に( p <0.05)高かった.その濃度差には,環境中のPCBと廃棄物焼却場の排ガスに由来する 3,3',4,4',5-PeCB (#126) が寄与していた.果物経由でのダイオキシン類とコプラナーPCBの一日摂取量は,最大で0.0082 pg-TEQ/kg b.w./day (ND=0)と推定された.これらの値は,日本における耐容一日摂取量 (4pg-TEQ/kg b.w./day)に比べはるかに低く,果物の摂取はダイオキシン類とコプラナーPCBによる人体暴露の重要な経路でないことが分かった.