遺伝子組換え(GM)食品の定量検査方法において,測定結果に影響を与えるさまざまな因子を調査するために,当該検査方法の外部精度管理を試験的に行った.外部精度管理試料は,重量混合比で遺伝子組換えダイズが0%, 1% および5% となるようダイズを調製した.試料は同一時期に協力参加機関に送付し,ELISA法または定量PCR法での分析および指定した書式に従った結果報告を依頼した.次いで,これらの報告について詳細な解析を行った. 定量PCR法においては,回収された遺伝子組換えダイズ1% および5% 試料の測定値の総平均は,混合重量比に比べ大幅に低い値を示した.DNA抽出法の測定値への影響を検討したところ,多くの機関で実施されたシリカゲル膜タイプキット法に比べ,これ以外の方法を用いて行った機関の測定値は比較的混合重量比に近いことが判明した.これらの結果からDNA抽出法が定量PCR法の測定値に影響を及ぼすことが明らかとなり,DNA抽出法にシリカゲル膜タイプキット法を用いた場合,定量PCRの測定値が低くなる可能性が示された.ELISA法においては,回収された測定値の総平均は,予想された値に比べ若干高めではあったが重量混合比に近い値であった.