種特異性の易熱性溶血素遺伝子( tlh )および耐熱性溶血毒遺伝子( tdh )を目標とするPCR法を用いたMPN-PCR3本法により,市販魚介類中の腸炎ビブリオおよび tdh 陽性菌数を測定した.生食用魚介類では,魚類4/30 (13.3%), 甲殻類11/20 (55.0%), 貝類29/30 (96.7%)が腸炎ビブリオ陽性であった.菌数は魚類および甲殻類ではすべて104 MPN/100 g未満であったが,貝類は11検体(36.7%)が104 MPN/100 g 以上であった.また, tdh 陽性菌は検出限界未満(<30 MPN/100 g)であった.加工用魚介類では,魚類15/20 (75.0%), 甲殻類9/20 (45.0%), 貝類20/20 (100%)が腸炎ビブリオ陽性であった.菌数は魚類3/20 (15.0%), 甲殻類1/20 (5.0%), 貝類18/20 (90.0%)が104MPN/100 g以上であった. tdh 陽性菌は,貝類7/20 (35.0%)が陽性で,菌数は3.6×10から1.1×103 MPN/100 gの範囲であった.また, tdh 陽性の7検体のうち4検体から tdh 陽性腸炎ビブリオが分離された.