食品用板紙製品15検体およびバージンパルプ紙製品6検体について,ビスフェノールA,ベンゾフェノン,4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン,ミヒラーズケトンおよび4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの食品擬似溶媒への溶出を検討した.バージンパルプ紙製品では一部でビスフェノールAとベンゾフェノンを含有していたが,いずれの化合物も溶出は認められなかった.一方,食品用板紙製品はいずれも再生紙を用いており,すべての製品でビスフェノールAやベンゾフェノン類の含有が認められた.ビスフェノールAは 20% エタノール,ベンゾフェノン類は 95% エタノールで最も溶出する傾向が見られたが,その溶出量は最高でも27.2 ng/mL,大部分は10 ng/mL以下であり,紙製品の使用状況,接触食品の摂取量,各化合物のTDIやNOAELなどを考慮すれば安全性に懸念がないと判断された.