赤外線吸収(IR)スペクトルは,しばしば食品添加物の確認試験にその標準参照スペクトルとともに用いられる.ベタインについては,多くの異なるIRスペクトルが報告され,そのため,再現性のある標準IRスペクトルの確立が望まれている.そこで,標準IRスペクトルを得るための測定条件,例えば前処理,測定法や測定技術について検討した.その結果,ベタインの測定に通常用いられるKBr法は,測定室の湿度の影響を受け,しかもベタインとKBrとの間には相互作用があることを明らかにした.最終的には,五酸化リンを用いて,105℃,3時間乾燥したベタインを,流動パラフィン(Nujol)を用いるペースト法でIRスペクトルを測定すれば,再現性のある標準スペクトルが得られることが分かった.