国産玄米から分離した Fusarium を材料としてDNA塩基配列による真菌の同定を行い,その実践上の有用性と限界について検討した.rRNA遺伝子内に存在する3領域,D2, ITS1およびITS2の塩基配列を解読し,米国のNCBIが管理するGenBankデータベースに登録されているDNA塩基配列と照合した.D2領域については,Applied Biosystems Fungal Library とも照合した. Fusarium を種レベルで同定または推定するには,少なくとも3領域すべてをデータベースと照合する必要があった.今回同定に供した株の約半数は,塩基配列のみから種の同定が可能であった.残りの株は,1株を除いて,DNA塩基配列に基づいて候補となる種を絞ることができ,形態学的手法による同定が容易になった.