市販にがり17試料を対象として含有成分の分析を行い,第8版食品添加物公定書規格(案)と比較した.その結果,食品添加物「粗製海水塩化マグネシウム」の表示がある15試料中自主規格案のすべての規格値を満たしているものは5試料のみであった.さらにFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で提案されている食品添加物規格における重金属の限度値まで分析することを目的とし,PbおよびCdについてキレート剤を用いた溶媒抽出,原子吸光分析法を検討した結果,限度値よりさらに低い (Pb: 0.5 μg/g, Cd: 0.05 μg/g) レベルまでの定量が可能となった.Ca, SO42-含量比から製造法を推測したところ,イオン交換膜法で製造されたにがりは,2試料のみで残り15試料は蒸発法によると推測された.今回の試料についてはいずれの製造法でも重金属類による汚染はないと考えられた.