アサリに麻痺性貝毒産生渦鞭毛藻 Gymnodinium catenatum ( Gc ) を給餌し,同貝における毒の蓄積,変換,排泄について検討した.実験開始時に Gc 培養細胞(4×106 cells) を一度だけ大量投与したところ,アサリは12時間後までにほとんどを摂取し,投与量の16% に相当する毒を蓄積したが,いったん蓄積した毒はその後急速に減少した.毒組成については,給餌した Gc とは異なり,C1に対するC2の割合の逆転やデカルバモイル体およびカルバメート体の出現が認められた.アサリならびに飼育水槽中の残さ( Gc の残存細胞と糞)に含まれる毒量の総和は次第に減少し,168時間後には投与した毒量の1% 程度となった.