L-チロシン(L-Tyrosine)を次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)処理して生成するクロロホルム(CHCl3)の中間生成物と考えられる物質についてLC/MSを用いて調べた.その結果,4-ヒドロキシベンジルシアニド(4-HBC)をNaClO処理して生成する物質とマススペクトルが一致した.この物質の合成方法を検討した結果,4-HBCにNaClOを反応させ溶媒抽出後,HPLCカラムスイッチング法により,分取が可能であった.この物質のNMR構造解析を行った結果,3-クロロ-4-ヒドロキシベンジルシアニド(3-C-4-HBC)と確認された.L-Tyrosineおよび4-HBCにNaClOを反応させた結果,3-C-4-HBCおよびCHCl3が生成し,3-C-4-HBCにNaClOを反応させた結果,CHCl3が生成した.したがって,3-C-4-HBCはL-Tyrosineから生成するCHCl3の中間生成物質であることが確認された.以上,L-TyrosineのNaClO処理により,4-HBCから3-C-4-HBCを経てCHCl3に至る反応機構を推定できた.