近年食品への使用が許可されたα-リポ酸は,錠剤やカプセル剤に配合されている.α-リポ酸はアジピン酸から合成されるが,精製および乾燥時に発生する重合物の安全性が懸念されている.そこで著者らは,α-リポ酸の熱変性重合物(LAP-A)およびエタノール変性重合物(LAP-B)の安全性と 1H-NMRおよびFAB-MSスペクトルによる構造解析について検討を行った.継続摂取試験において,雌雄マウスに対して,重合物を4週間混餌(0.1および0.2%) 摂取させた結果,用量依存性はないものの血中尿酸,カリウムおよび乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の上昇傾向が認められた.また,臓器重量では,肝臓の相対重量の増加が見られた.一方,LAP-B (500 mg/kg)を単回投与した雄性イヌにおいて,血液パラメーターや一般状態の異常な変化は認められなかった.これらの結果より,α-リポ酸重合物は急性毒性を示さないものの,継続摂取により肝および腎機能に影響を与えうる可能性が示唆された.