食品中の特定原材料(小麦)を検出するためにネステッドPCR法を開発した.加圧加熱食品ではDNAが低分子化し,検出できないことが多い.そこで,加工食品における小麦DNAの検出限界バンド長を検討したところ,加圧加熱加工食品に適用するためにはプライマー対はおおよそ100 bp以下で設定することが必要と考えられた.加圧加熱食品での検出感度を向上させるため,ネステッドPCR用プライマー対を設計した.PCR反応試薬を変更して1回目のPCRを実施し,その反応液を用いて2回目のPCRを実施したところ,通知法では7試料中4試料のみ検出できたが,ネステッドPCR法ではすべての試料で検出可能であった.今回確立したネステッドPCR法は,高度に低分子化した加圧加熱食品のDNAが検出可能であったことから,レトルト食品,ハイレトルト食品を含む加工食品において有効な検査法と考えられる.