ひじき中の無機ヒ素を正確に抽出・定量するために,硝酸を用いた酸部分分解法を検討し,ひじきからヒ素をほぼ100%抽出し,かつ有機ヒ素が無機ヒ素にまで分解されない加熱条件などを確立した.ヒ素の化学形態別分析にはHPLC/ICP-MSを用いた.確立した方法についての評価を実施した後,その方法を用いて調理過程における無機ヒ素量の減衰を検討した結果,水戻し+水煮操作(和式調理法)は単なる水戻し操作よりもヒ素量を減少させるのに有効であること,また,総ヒ素量よりも無機ヒ素量を有効に減少させる手段であることが示された.