米中の無機ヒ素を選択的に定量するために,抽出法として硝酸による酸部分分解法を,分別定量法としてHPLC/ICP-MSを用いる方法を検討した.無機ヒ素の検出下限および定量下限はそれぞれ0.0024, 0.0079 mg/kg乾重量であった.確立できた方法を用いて国内で市販されている短粒玄米10検体を分析したところ,無機ヒ素濃度は0.108~0.227 mg/kg乾重量,総ヒ素濃度は0.118~0.260 mg/kg乾重量であった.ほとんどの検体からジメチルヒ素体も検出されが,無機ヒ素は総ヒ素の62.2~96.3%を占めていた.このように,分析した短粒米ではヒ素の多くが無機ヒ素であった.