2001~2005年度の愛知県における野菜・果実中の農薬残留データに基づき,ポジティブリスト制度下において効率的かつ効果的な監視・検査業務を行うための適切な食品および対象農薬の選択を可能にした.また,農薬検出率(分析試料数に対する農薬検出試料数の割合)の年次推移と傾向性,1試料当たりから検出された農薬の種類数について,国産野菜,国産果実,輸入野菜,輸入果実別に統計解析を行った.その結果,国産野菜における農薬検出率は5年間で減少傾向を示すこと( p <0.001),1試料当たりから検出された農薬の種類数は,他の3群と比較して国産果実において有意に高いことが判明した( p <0.001).また,ポジティブリスト制度下の基準値に照らして過去のデータを再判定し,“基準値の10%以下”,“基準値以下”,“基準値超過”に分類し,各検出農薬について3つの分類の割合の年次推移について統計解析を行った.その結果,5年間で基準値超過の割合は減少傾向を示し,基準値の10%以下の割合は増加傾向を示した( p <0.001).再判定した結果から,基準を超える可能性が高い農薬と食品を抽出した.