253種類の農薬成分の保持時間,マススペクトルおよび検量線情報があらかじめ登録してあり,定性・定量用の標準品測定を行うことなく残留農薬の有無,およその濃度を確認することができるデータベースソフトウェアを用いたSCANモードGC/MSによる一斉分析法(SCAN法)を作成し,残留分析への応用を試みた.SCAN法により野菜・果実類などから26種類の農薬成分,延べ131成分を検出し,標準品測定を行うSIMモードGC/MSによる一斉分析法(SIM法)と定性結果はよく一致した.定量値の(SCAN法/SIM法)比は0.3~3.1(標準偏差0.63)と半定量法としておおむね満足すべき範囲にあった.適切な試料調製法を採用することによって,SCAN法はスクリーニング分析法としての実用性が示唆される結果が得られた.