GC/MS/MSを用いた加工食品中の残留農薬一斉分析法の検討を行った.試料に添加した農薬を酢酸エチルで抽出し,アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂を行った.さらにグラファイトカーボンブラック/PSA積層カラムにて精製を行い,GC/MS/MSにより測定を行った.258農薬について,5種類の加工食品(餃子,レトルトカレー,フライドポテト,鶏唐揚げ,白身魚フライ)を対象に添加回収試験(添加濃度0.02および0.1 μg/g)を行った.2濃度の添加回収試験において,両濃度で良好な結果(平均回収率70~120%,相対標準偏差 20% 以下)を示した農薬数は258農薬中184農薬であった.GC/MS/MSにおいては,試料由来の妨害成分の影響を受けにくく,低濃度においても精度の高い定量が可能であった.以上のことから,本分析方法は加工食品中の残留農薬を分析するうえで有用な方法であると考えられた.