中毒時における食品中重金属の迅速分析法について検討を行った.食品試料に硫酸を加えホモジナイズ抽出後希釈し,誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定した.12食品について10元素(ヒ素,カドミウム,クロム,水銀,マンガン,鉛,アンチモン,セレン,スズ,タリウム)の添加回収試験を行った結果,セレンを除く9元素について平均回収率は71~107%,相対標準偏差は1~13%であった.試料の秤量から10元素の分析値を得るまでの時間は約2時間であり,既存の分析法に比べ操作時間が大幅に短縮された.本分析法は簡便で多様な食品にも対応可能であり,中毒発生時の迅速分析法として利用可能であると考えられた.