全国地方自治体に行った消費者からの清涼飲料水の微生物に関連する苦情の調査結果において,茶系飲料と果汁飲料で苦情事例が多く,果汁飲料は生産量に比して発生頻度が高いことが判明した.開封前の事例では流通時での容器の破損,開封後では消費者の消費方法が主な微生物汚染の原因になることが示された.汚染微生物の種類としてはカビが多いことが判明し,カビは制御の対象として重要であると考えられた.製造から消費までの必要な対応を考えると,製造工程では中小製造者の支援,流通過程では製造者による容器の破損防止のための運送・販売業者の啓発,消費では適切な消費方法についての消費者の啓発が必要であると思われた.これらの支援および啓発によって,清涼飲料水の苦情を減らすことが可能と考えられた.