フグの安全確保に資するため,天然トラフグ(試料魚No. 1,No. 2)から採取した卵を人工受精させ,屋内水槽施設(50日間)および海面生簀(48日間または38日間)で飼育したトラフグ仔稚魚のテトロドトキシン(TTX)含量を調べた.トラフグNo. 1のTTX含量は受精卵では13.0 μg TTX/gで,孵化直後67.6 μg TTX/gに上昇したが,その後漸減し孵化後98日目に0.28 μg TTX/gまで低下した.一方,1個体当たりの総TTX含量は受精卵から孵化後30日目までは0.01~0.03 μg TTXを維持したが,50日目に0.63 μg TTXとなり,海面生簀飼育中に顕著に増加し98日目に4.80 μg TTXとなった.トラフグNo. 2はNo. 1に比べTTX含量はやや低かったが,種苗生産中のTTX含量変化はトラフグNo. 1と同様の傾向を示した.