2004年10~11月に,瀬戸内海播磨灘で最高4,960 cells/Lの密度で Alexandrium tamiyavanichii が観察された.同海域から分離した本種の天然藻体,ならびにそこから得た培養藻体の毒力は,それぞれ6.25~15.4×10-4および2.7~3.5×10-4 MU/cellと,共に既報のものよりはるかに強かった.天然藻体の毒は,GTX5を主成分,GTX4を主要な副成分としており,既報や培養藻体(主成分GTX3)とは異なる珍しい組成を示した.同時期同海域で採取したムラサキイガイの毒力が13~28 MU/gと比較的高かったことから, A. tamiyavanichii は5,000 cells/L程度の低出現密度であっても二枚貝を高毒化させる危険性のあることが示唆された.