前報で報告したうるち米中の総ヒ素定量法および無機ヒ素分別定量法について,多種類の米に応用できるように実験条件の検討を行い,作成した条件を用いて定量を行った.総ヒ素の定量では誘導結合プラズマ質量分析法において感度を向上させるために酢酸を添加し,ゲルマニウムを用いた内標準法により定量した.もち米ならびに有色米について,無機ヒ素分別定量のための硝酸部分分解法の抽出温度を検討した結果,100℃ において 90% を超える抽出率が得られた.うるち米,もち米,有色米の玄米ならびに精白米について,総ヒ素ならびに無機ヒ素の含有量を調査したところ,総ヒ素は0.04~0.54 mg/kg,無機ヒ素は0.02~0.41 mg/kgの範囲であった.米の色と総ヒ素ならびに無機ヒ素量には関係は見られなかった.分析結果から,市販米中の無機ヒ素濃度に対して注目する必要があると考えられた.