動物用医薬品は,その使用が省令により厳密に規制されているにもかかわらず,さまざまな食品における検出事例が報告されており,迅速で精度の高い検査法の開発と規制強化が強く望まれている.本研究では,ガラスビーズを用いた前処理およびバッチ精製を基にした加工食品中の動物用医薬品の一斉分析法を検討した.EDTA-2Na存在下でガラスビーズを用いて試料から動物用医薬品を抽出し,抽出液に固相充填剤を加えて精製することにより,多数の試料を迅速かつ簡便に前処理することが可能となった.また,抽出溶媒を検討し,テトラサイクリン系抗生物質を含む動物用医薬品一斉分析法を確立した.添加回収試験を実施したところ,検討した69成分中60成分以上が,回収率70~120%,変動係数25% 未満,定量下限値は0.01μg/g ( S/N ≥10)で定量可能だった.以上より,本法は迅速な動物用医薬品一斉試験法として有用であると考えられた.